ありがとう、ドラえもん

「あんなこといいな、できたらいいな」のび太くんが欲したのは、力だった。のび太くん、君はタケコプターで大空を飛ぶだけでは、空気砲で的を撃ってご自慢の射撃の腕を披露するだけでは満足していないんだろう。それは君が叶えたい夢じゃない。君の望みはタケコプターを装備して上空から空気砲でジャイアンやスネ夫を蜂の巣にすることなんだろう。映画『のび太とアニマル惑星(プラネット)』で、空気砲は敵のUFOを撃ち落としたよ。そんなものを人に撃ったらどうなるか君は理解しているのかい。理解しているだろうね、君はその行動がどんな結果をもたらすか理解している。それでも君はやめられないよ。そこに「道具」があるんだからね。

 日産がラシーンというRV車のCMにドラえもんを起用したことがある。RV車は「Recreational Vehicle(リクリエーショナル・ヴィークル)」の略で、休暇を楽しむための車という意味だ。

 平穏な森の中を爆音を轟かせてRV車が爆走する。木々は折れ、虫達は踏み潰される。のび太くん、君は躊躇しないよね。大量の排気ガスを出しながらアクセル全開で森に突っ込んでいく。そのときの君は本当に楽しそうな顔をするだろう。休暇を満喫するために、君はアクセルを踏み続ける。だってそこに「道具」があるんだからね。

 

今回の読書

重松清 セカンドライン

https://amzn.asia/d/g6cPT0I

おすすめの記事